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「神戸 玄斎」 きょうはどんな日 gensaikobe.exblog.jp

店主の日常や様々な情報をお知らせいたします。 <Instagram> ID. @gensaikobe https://www.instagram.com/gensaikobe/


by gensai-kobe

120円の旅(長編につき退屈御免!)

料理とは無関係な題名ですな〜015.gif
まぁ当ブログをよくご覧頂いている方々にとっては、珍しくないことですが…(笑)

今日は玄斎はお休み(不定休)で、子供達は学校なので、家内の許可を得て、午前中は店主のフリータイムにしてもらいました。

お昼ご飯までの時間にプチ旅行をしようと思い立ったものの、生憎の雨模様057.gif

そこで、店主が中学生のころ、よくやっていた『大都市近郊区間 大回り乗車の旅』
に出かけることに決定!

これはどういうものか、ご存知な方もいらっしゃるかもしれませんが、説明します
と、

JR線(店主が学生の頃は国鉄)には、全国4ヶ所に大都市近郊区間というエリアがあり、そのエリア内に発駅と着駅があれば、経路に関係なく、最短経路の運賃で乗車できるというものです。

例えば、大阪から京都に行く場合、通常東海道線の一本(乗り換えなし)ですが、大阪環状線で天王寺〜関西線で奈良〜奈良線で京都 というふうに乗っても、運賃は同
じというルールがあるのです027.gif

ただし、守らなくてはいけないこともあります。
基本的には、1 同じ駅を通らない(一筆書きルートである)こと。
2 途中下車しないこと。3 発着駅と経路が大都市近郊区間内であること。
が鉄則であります。

それでは、25年ぶりの大回り乗車の旅に出発進行!


朝6時45分に自宅をでました。
早朝のひと気のない道をゆっくり歩いてJR三ノ宮駅につくと、発車3分前!

大急ぎで、券売機に向かいます。
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隣の元町駅まで、120円区間の普通切符を購入042.gif

歩いてもすぐ(800m)な距離の一駅を、今日はまず、逆方向の尼崎に向かい、福知山線で谷川、加古川線で加古川に抜けて、山陽・東海道線で元町まで行きます。

会社員や学生で混み合う三ノ宮駅から、お気楽な旅が始まります。
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元町方面と書かれたホームと反対側『上り 大阪・京都・米原方面』のエスカレーターを上がると、新快速・近江塩津行きが滑り込んできました。

弁当も飲み物も何も持たずに、雨傘とポケットにコンパクトカメラだけ持って、最後部の車両へ。

7時前なのに、もうすでに混み合う車内。店主も立ちながら尼崎へ向かいます。

通勤電車には無縁な店主には、「毎日通勤ご苦労様です。」と頭が下がる思いですね。

平日にプチ旅行するオッサンは、そんなことを考えながら、二つ目の停車駅「尼崎」で福知山線に乗り換え、113系の普通「福知山」行 の一両目に座りました。

学生時代は、この路線も途中の宝塚からは単線非電化で、ディーゼルカーや旧型客車がたくさん走っており、武田尾駅付近の武庫川沿いを行く列車の撮影に足しげく通ったものです。

今は一部新線に切り替わり、篠山口まで複線、それより奥は単線で全線電化になって久しいので、時代を感じてしまいますね〜。

さて、今回敢えて普通列車でのんびり〜な旅にしたのは、最近「時間に対する価値観の変化」を感じていたからなんです。

学生時代は、貧乏ですから、時々の贅沢を除けば鈍行列車の旅行が当たり前。
東京に行くのも在来線ですし、全て鉄道旅行の基本は普通列車でしたから、今の時間の感覚や価値とは随分違うものに思えます。

何の必要性もなく、ただ何となく列車に揺られていたあの頃。

一人で乗るときは、尚さら時間の経過は遅いのに、退屈せずに楽しんでいたのは何だったのか?

自分でも思い出せないあの感覚を取り戻せるのか059.gif

そんな、ちょっと実験的な要素もあったので、酒とツマミ、単行本も何も持たずに、手ぶらの旅をしてみようと思っていたのですが、気がつけば、このブログ記事を携帯でピコピコ…062.gif

『あっ、アカンアカン。。何をやっとるんじゃ008.gifもう宝塚越えてしもたがな。』

急いでケータイをポケットにしまってと。

今日はただボケーッと車窓を眺めたり、人間観察をしたりしながらいかねば。

小雨の「生瀬駅」。
ここでは25年前、翌朝早くに通過する列車を撮影するために、駅の待合室で仲間たちと夜を明かしたことがあります。
蚊取り線香炊いて、真っ暗闇の無人駅で。

昨日のことのように思い出します。
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学生さんがたくさん乗っていて、駅に着くごとに同じ制服が増えて行きますが、『どこの学校なのかなぁ。』と考えていたら、相野駅で全員下車。

あの子達が生まれる10年前の話を懐古しているのだから、我ながら『おっちゃんになったもんや。』と感じざるをえません012.gif

「篠山口」には、美味しい駅弁屋さんがあったけど、まだあるのかなぁ。

確か500円位(消費税もありません)で、おかずはシンプルだけど無駄がなくて、何しろ白ご飯が旨かった053.gif
反対列車待ちの時、客車の窓まで、帽子被ったおじさんがいい声で売りに来たなぁ…


ここから北は単線区間。
列車の本数が減るのも昔と同じ。

次までの駅間が長いここで、車掌さんが検札にくるのも変わっていません。
『大回り乗車で元町まで行きます。』と伝えることを忘れたらキセル乗車と間違えられるので、ここはちゃんと言いましょう034.gif

ところで、今ニッコリ応えてくれた車掌さんも20代前半。
年上のおじさんばかりだった車掌さんも、いつの間にか逆転して、時は過ぎ、自分がおじさんに。

学生の頃を思い出しながら旅していたので、何だか不思議な気分です。

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隣の「丹波大山」辺りから劇的に鄙びて来ます。


篠山川の渓谷をすぎれば、次の乗換駅「谷川駅」に着きます。
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乗り換えの案内がありましたが、降りたのは僅か5人ほどで、加古川線に乗り換えたのは店主だけ。
静かな山里の駅です。

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この時刻表にもビックリ。(昼間3時間も列車がない…)

雨も上がって、いい空気とのどかな風景に、店主ひとりでノリノリです070.gif

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しかし、この風景に似つかわしくない真新しい電車ですね(笑)

以前は真っ赤なディーゼルカーが単行で走ってましたから、ローカルムードたっぷりでしたから、かなりイメージが違うんですが、乗ってみるとワンマンカーでそれなりにええ感じ。

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市バスのようなアナウンス音声で『発車いたします。』

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それでは、ちょっとお行儀悪いですが、がら空きなので失礼して。
しかし、缶コーヒーと同じ120円で、ここまで来てしまったのには、驚きでしょ。

電化したので、地方のローカル私鉄の趣に近い感じです。

八重桜が満開に咲く小さな駅には、お客さんが1人、次の駅は2人降りて1人乗ってと、小さな増減を繰り返しながら進みます056.gif

線路規格が低いため、制限25km/h の場所が何箇所もあり、切り通しのカーブ部分を通過するときには、徒歩位のスピードまで落とし、雨に濡れた木の小枝が窓に当たりながら走ります。

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この列車は、「西脇市駅」まで。

加古川線は、ここを境に南部は列車本数や乗客数がかなり増えます。

乗り継ぐ列車の連絡時間が15分くらいあるので、久々に鉄ちゃんタイム。
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こんな撮り方もよくやりました。
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この「西脇市駅」は、以前「野村駅」と呼ばれていました。
この駅を起点として、「鍛治屋線」という盲腸線があり、その一駅目に「西脇駅」という駅があったのですが、鍛治屋線の廃止に伴い、「野村駅」を「西脇市駅」と改称したという経緯があります。

店主も「野村駅」以来の再訪です。

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あっという間に発車時刻。
ここからは、学生さんやら若い乗客が増え、2両編成の電車は、まずまずの賑やかさです。
2両でもワンマン運転ですから、車掌さんは検札だけ。

ちなみに、その頃の加古川線には枝線があと3路線あり、「厄神」からは「三木線」、「粟生」からは「北条線」、「加古川」からは「高砂線」がのびていました。
その後、鍛治屋線と高砂線を除く2路線は、第三セクター化されましたが、先頃「三木鉄道(旧三木線)」が廃止され、残すは「北条鉄道(旧北条線)」のみになりました。

北条鉄道の起点、「粟生駅」は、神戸電鉄粟生線も乗り入れており、沿線唯一のターミナル駅でもあります。


…とまぁ、興味のない方々には何とも退屈な解説つきで027.gif


自動車教習所に行く男の子や、お買い物に加古川までお出かけの主婦…
まさに『生活の足』的なローカル路線を、何の用事もないオッサンが、一乗客となって混じっているのが心地好いものです。

春の穏やかな光りの中、ゆっくりとコトコト走っていくので、ついウトウト。。。014.gif


高架区間の走行音で目覚めると、終点『加古川』の到着アナウンスが。

右に急カーブを切りながら加古川駅に入線してきました。

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高架駅となった駅に初めて降り立ちました。

国鉄時代に訪れたとき、駅周辺に高い建物もなく、駅の端に、加古川・高砂線のホームがあり、そこに夕陽を浴びて停車中のキハ20の写真が、アルバムに残っていることを思い出してしまいました。

時刻は10時30分。
新快速で東を目指します。


さて、今回の目的でもある『時間に対する価値観の変化』を体感できるかということ。

今回は、昔旅した場所を懐かしむ形でしたが、おそらくは、初めての場所でも心地好くスローな旅を楽しめるように思いました。

ただ、地下鉄のように車窓風景のない場所や通勤路線はしんどいと思いますが015.gif


三ノ宮駅で120円切符を買ったときから、スローペースな時間が流れて始めたように感じます。

元々スローな性格の店主ですが、仕事上どうしてもセカセカとした毎日を送ってきましたが、一人の時間は、やはり時計の進み方が違います059.gif

朝から4時間、何の生産性もない時間を過ごしましたが、心は少し豊かになったように感じますね。

ムダな時間もいいものだなぁ〜と満足げに神戸の街へ帰って来ました。

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元町駅の改札口を出ると、朝から何も食べていない自分に気がつきました。


歩いて家に帰ったら、すぐに家内とランチにいきます。


シャンパンでも開けて、貴重な時間をムダに過ごすことを許してくれた嫁はんに、感謝の意を表すことにしましょう024.gif
by gensai-kobe | 2010-04-27 23:59 | よもやま話