暮れから何度か電話でお話しさせていただいただけだったので、近いうちにお伺いしようと思いながら、春になってしまいました。
このように店主がご挨拶出来ぬままの農家さんは山とあるので、タイミングを合わせて順番に訪ねることにしていましが、なかなかはかどらず…。

豊岡市日高町。
悠々たる円山川の流れを西に見る農地が広がります。
自宅から往復四時間以上かかるので、今日のフリータイム内に帰る為には、滞在2時間がリミット。
迷わず辿り着けたのは、ラッキー!
「今は時季的に何もないけど…」と、作業場から、早速圃場を案内してくださいました。
先日の爆弾低気圧の後処理に追われながらも、「今ブロッコリーの定植を済ませたとこだわ。」と話す吉谷さんは、脱サラ就農組。
「まだまだ駆け出しだでね…」と謙遜されますが、正月用の『地野菜と穴子鍋セット』の時にお世話になった赤崎ゴボウの出来栄えはすごかったんですよね。
「どんな方の作品なんだろう?」とワクワクしての訪問でしたが、電話越しに伝わって来た通り、(店主が申すのは甚だ失礼ですが、)温かくて、繊細な感覚をお持ちのお百姓さんです。

ぼかし肥料やEMで完全有機栽培。もちろん無農薬。(ほうれん草の色が薄いのはこのためで、化成肥料を入れると簡単に濃くすることは可能なんだそうです。)
無農薬栽培がどれ程大変かは、大方の予想を軽く上回るものです。
この冬は、日照時間が恐ろしく短く、日較差が20℃を超えることもあったそうで、生育状態は今までで最悪に近いそうです。
確かに小振りで見た目は良くはありませんが、味は濃くて、しかも安全。
「わたしらが出来るのは、土作り。これに尽きるというか、結果的にこれしか出来んわね。」

そんな吉谷さんが暮らすこの地域は、常に自然の脅威に晒されてきた歴史があります。
台風や豪雨による円山川の氾濫が度々あり、最近では2004年の台風23号につづいて五年後2009年にも豪雨で浸水、被害も甚大だったそう。
店主もテレビで惨状を見た記憶があります。
「昭和34年の伊勢湾台風のときは、2メートルくらいの高さまで水が来たのを覚えとるでね。」
確かに、長い目でみれば河川の堆積土砂によって、肥沃な土壌になったわけですが、この地で自然と共存するということは、そんな簡単な話では片付けられません。
だから、東日本大震災も、吉谷さんにとって他人事ではないのです。
聞けば、就農前はなんと消防隊員としてお勤めだったそうで、殊更に辛い想いでいらっしゃいます。
「阪神大震災の時は、灘区から連隊を組んで、中央市民病院まで3時間かけて向かう毎日でね…」
遅々として進まぬ救出、復旧に苛立ちを覚える日々を過ごしていたそう。
自然の力を前にして、人間の無力さに失望し、反対にその恩恵に感謝もし、それでも共に前を向いて歩くこと…
店主ごときが言うべきことではないかもしれませんし、簡単に一言では表せませんが、これって人間本来の強さを感じます。
生産者という常に自然と直接対峙する人が発する言葉には、何も逆らえません。
ただただ頭が下がります。

作業場に戻ると、吉谷さんが記録ノートを見せて下さいました。
作業日誌というんでしょうか、その日したことが詳しく書かれています。
近くにこだわり農産物だけを取り扱うスーパーがあって、施肥や除草まで事細かに履歴が必要なので、全て提出するためなんです。
す、すごい(-。-;

こちらは、何処の畑のどの畝に、何を植えたかの記録。
作物によっては、連作障害をおこすので、キッチリと書き残してあるんですね。
コンパニオン・プランツ(網干メロンの章で説明しましたね)についての記述もあります。
「書いとかんと、もう憶えとれん歳だでね。」と、笑いとばしてますが、このキッチリとした性格、店主も少し分けて欲しいものです。
「このノートも三年前の洪水で流されて、その後の分しか無いんよ。機械類も買い替えで、機械貧乏だわ。いや、ほんま(笑)」
まさに、諦めない人間の強さ。
熱い眼差しで、作物に対する想いと消費者への愛情を語ってくださった吉谷さん。
そして、隣りでご主人の話を聞く奥様の優しい微笑みが印象的でした。

さて、ギリギリあと1時間あるので、ワサビ農家の北村さんのお宅に立ち寄ることにしました。
その後は、その例のこだわりスーパー「ガンピー」さんへ行く予定。

神鍋山が遠くに見えていますが、まだ雪を被っています。
あの雪融け水が何年かかけて浸み出る場所にわさび田があります。
今回は、弾丸ツアーで10分ほどの滞在でしたので、写真はありませんが、一面のワサビは白い花をつけ若葉色。
セリやクレソンもいっぱいです。
そういえば、前回こちらを訪れたとき、若きご主人も、「この溢れる清水にいつも感謝しながらの毎日です。」って、おっしゃいました。
当たり前の毎日に感謝するこの気持ち、改めて胸に刻みたいです。
実は先月も嬉しい出会いの宴に呼んで頂いたのですが、その席で『お父さんもお誘いして見たら…。』と、トントン拍子に話がまとまって、先生のお言葉に甘えて、今日は親子でお伺いしました。

テレビや雑誌でお馴染みの二人ですから、店主もこのツーショットは撮らせていただきました。
店主と白井先生とは、もう15年のお付き合いでして、親父夫婦とも時々電話でおはなしさせていただいていますが、こうしてプライベートな食事は初めてに近いと思います。
テレビでいつも拝見するそのままの優しい笑顔で、ホントに嬉しそうに、美味しいお料理をたくさん用意ししてくださいました。

ウェルカム・サラダ
先生の一捻りが効いた、春の味。
ちょっとしたアイデアが満載です。
優しさ、思いやりが皿に出るとは、こういうことなのでしょう。
お昼にもかかわらず、沢山のご馳走をいただきましたが、話が盛り上がり過ぎて、写真を忘れ、これ一枚だけです。
親父の修業中の話とか、先生の想い出話とか、為になることから世間話まで、タップリ聞かせてもらい、楽しい3時間でした。
今日は、料理雑誌『あまから手帖』の取材で播州赤穂にいって来ました。

店主も最近知ったいいネギの畑を訪問。
詳しい内容は、ここではまだ書けませんが、やはり、本気のモノ作りをされている方の言葉には、説得力がありますね〜


特殊な農法を開発されたのは、元大手企業の重役だった方で、とても実直なアツイ人。
歯に衣着せぬご発言が多いので(^_^;)、店主も最初は緊張しておりましたが、話せば話すほど魅力的で、とうとう飲みに行く仮約束をして、帰ってまいりました(笑)
明後日は、そのネギを使っての、料理撮影です。
さぁ、どんな料理にしようか、二晩かけて考えて見ます。
この記事は、新年1月23日発売の、『あまから手帖 2月号』(クリエテ関西)に掲載予定ですので、是非ご覧になって下さい。

正解は、カツサンドでした。
市販ソースは使用せず、トマトと玉葱をたっぷり使った醤油ベースのたれは、リーペ〇ンソース にそっくり。
マスタードの代わりに辛子酢味噌で会えた湯通しキャベツを挟み、針生姜と水菜も入れました。
肉もちょっとヒネリが入ってますが、答えは店主に直接聞いてくださいね。
さて、今回の「菊乃井大将 村田吉弘さん 還暦祝賀会」には、台風接近にかかわらず、大変多くの方々がお越しになりました。
大将のお付き合いの広さが伺えます。スゴイです。

会場では朝からセッティングが始まっていました。
午後になると、料理人たちが集まり始め、全国から集まった菊乃井のOBが、助手としてお手伝いしてくださいました。
30軒のお店が平均3人ずつとして、90人!
プラスお手伝いで30人と単純計算したら、ざっと120人の料理人が集結しています。
こんな光景あまり見たことありません。

電源も臨時に増設して、準備万端。

そりゃお酒もね。

主役の大将が赤いちゃんちゃんこを着て登壇すると、大きな笑い声が…。
今回の祝賀会は、還暦のお祝いと同時に、チャリティイベントとしての側面があります。
収益は、東日本大震災の支援プロジェクトとして、キッチンカーの購入と活動運営資金に当てられます。
なんとも大将らしい会ですね。
店主にとって、この場に居られること、お手伝いが出来たことが、最高に光栄なことですが、日本中のスーパーシェフとご一緒できたことが、何より刺激的であり、貴重な時間でした。
おかげさまで、会は滞りなく終わました。
玄斎ブースでも用意した240食は1時間あまりでなくなりました。
本当にありがとうございました。
また感想などお聞かせいただけたらと思います。
深夜の打ち上げが終わり、
「ありがとうございました。皆さんのお陰です。ホンマに感謝してます。おおきに。おおきに。…」と弟子の私ごときにまで、目を潤ませて、頭を下げ握手してまわる大将。
店主ももらい泣きしそうでした。
ハートフルで終始和やかだったビッグパーティですが、あの温かい雰囲気の理由はここにあるのだと感じました。
皆に愛される情熱人。
店主18歳の夏、そんな師匠に弟子入りできたという幸せを噛み締めています。
今、大将の「三度目のハタチ」を心の底からお喜び申し上げます。
いつまでも元気で、私の「雲の上の師匠」でいてください。
30軒を越える東西の名店に混じって、光栄にも「チーム玄斎」が飲食ブースを出店させていただきます。
…ということで、本日はその仕込み中です。
ご来場の方は、各店の献立が明日会場でわかりますが、玄斎の仕込み内容を、ちょっとだけのぞき見してみましょう。

↑赤身のお肉。
だいたい想像できますかね?

↑これは酢味噌。
結構な量ですね。

↑そして、謎のソース。
黒光りした怪しげな液体はなんでしょう?

↑そして、これは試食用のパンです。
「ん??パンって…何すんの?」
これ以上はお楽しみということで。
明日は1000人を越えるお客様がお越しになると聞きました。
このブログをご覧になった方は、お声をかけてくださいね。
完成品と、会場の様子については、後日お知らせできると思います。
今春の開店から、伺いたいと思いながらなかなか機会がなかったのですが、先日やっとランチにいってきました。
ここのシェフとマダムは、玄斎とのコラボでお世話になっているアノお店の出身。
彼が修業中から知っているだけに、自分の弟子が独立したように嬉しい思いです。
白い壁と柔らかな空気が流れるシンプルな空間を、ご夫婦二人で切り盛りしていらっしゃいます。
前菜からメインに至るまで、手抜きのない緻密さは親方譲りですが、彼らしい人柄があふれた体に優しい料理は、女性に人気なのも頷けます。
テーブルをまわる幸せそうなマダムの弾ける笑顔も、いい雰囲気をつくっていて、「あ〜こっちまで幸せが移ってきた(笑)」。
これからがとても気になる一軒です。
普段は、お店紹介はあまりしないんですが、何だか嬉しすぎたので…
料理と会話をゆっくり楽しみたい日にオススメな一軒です。
CIMOLO SELVAGGIO
神戸市東灘区田中町3丁目19−16 ハイツタケシ1F
078・411・5776
定休日 火曜日
※今回は、直前の電話にもかかわらず、快く迎えていただきましたが、作るのも一人、運ぶのも一人のお店なので、予約はしておいたほうがいいかもしれません。
姫路市網干区の「網干メロン」というものを見にいきます。
姫路までは、最近よく通うので、慣れたもの。
1時間半ほどで到着。
興浜地区と呼ばれる揖保川河口に近い三角州の地域で、漁師町の風情ものこっています。。
今日お伺いした柴田さんは、ご自分のお子さんが、トウモロコシをチュウチュウと吸いながらかじりつく姿をみて、「子供達が安心して食べられるものでないと…よし!自分でやろう!」と、一念発起。
反対する奥様を説得して、脱サラ就農されたそうです。
メインで作るのはトマトで、糖度の高いのはもちろん、酸味とのバランスがとれた美味しいトマトを出荷しているそうです。
ヘタの下の緑色に、ある程度のムラがあり、果肉の白い筋が放射状に透けて見えているのが、いいトマトの見分けかただそうで、奥様が糖度計で計測してチェックなさってます。

なんでも、トマトの選別はご主人より奥様のほうが確か(失礼)だそうで、手で持っただけで甘いかどうか判ってしまうそうです。スゴイ!
さて、本命の網干メロンの畑へは、柴田さんの軽トラに便乗させていただいて、2分で到着。

住宅地の中にある小さな畑です。ネットが張ってあいるのは、カラスやほかの鳥を避けるため。
今は収穫の端境期なので、ちょっとさみしい画で申し訳ありません。

周辺と比べて白っぽくなってるところがありますが、このように枝葉が枯れかかってから収穫するのが完熟でベストだそうです。

手の平にすっぽりと納まる大きさのメロン。
元はマクワウリと聞きましたが、私達がイメージしたものより、小さくて色も緑色。
俵型が本来のもので、種採りもそれを選別していますが、時々ロケット型の個体が現れるみたいです。
交配は自然任せ。ハチがたくさん飛んでましたよ。
一般的には南瓜の台木に接ぎ木することが多いのですが、「昔ながらの網干メロンとは、どこか味が違う気がする。」と、柴田さんの畑は、実生栽培。
また、自然交配であるがために、周辺の影響も受けやすいので、栽培にはかなりご苦労があるようです。

ところで、このタマネギは何だと思います?
畝に対して等間隔に植えられていて、自宅用という訳ではなさそうです(笑)
「コンパニオン・プランツって聞いたことありますか?」と、柴田さん。
特定の作物にとって有益な働きをする植物を同じ場所に植えることで、農薬や化学肥料に頼らない栽培を目指すことができる。
つまり、網干メロンにとって、ネギ類は害虫除けの効果があるんだそうです。
そういえば、以前三田のGGファームさんにお伺いしたときも、コンパニオン・プランツを交互に植えた「シマシマの畑」がありました。

収穫後、またご自宅へ。
採れたてなので、まだ熱を持っていてあったかいですね。

タオルで一つずつ空拭きします。
これは、表面に吹いた白い粉のようなものが、とても苦いので、欠かせない作業。
「この苦みで、害虫から身を守ってるんです。」
拭き終えたものは、甘〜いメロンの香りがでてきました。ホント全然違うんですよ。
あと、ご主人が教えてくれたのは、ツルの周りにこのようにヒビが入ったものが、完熟状態で収穫された証だそうで、見た目は悪いが美味しいんです。

ご夫婦二人三脚で、美味&安全なほんまもんを守っていらっしゃる陰には、いつも研究心をもってする大変なご努力があるんですね。
「百姓は継がないって約束で結婚したのにぃ〜。」と笑い飛ばす奥様の笑顔に、毎日のやり甲斐と誇りを感じました。
お邪魔いたしました。
また伺います。
持ち寄りスタイルでしたが、店主は汁物とご飯を担当させていただきました。
集まる方々も同業者ばかり。
最初は、箱庭でBBQしていたのですが、小間のお茶室の炉を囲んで、煮物まで始めてしまいました。

↑こちら、身を焼いて食べた後のスカンピ(アカザエビ)の頭のだしとトマトソースで煮込んだムール貝と鯛。
ワインが進みます!
お茶用の菊炭は、備長炭とは違い火力が穏やかで、鍋にも最適です。
こちらのお宅では、煮込み料理によくこの炉を利用されるそうです。羨ましいですね。
日も暮れる頃、第2陣の来客…

↑持ち込んで頂いたチーズを白ワインでのばして、チーズフォンデュの始まりです。
最初はフランスパンでしたが、少し残っていた松茸をつけながら、贅沢モードに突入です。
これ、日本酒も合いますね。
仕事の話にプライベートの話。
うだうだとお茶室の角を陣取り、長居してしまいました。
気がつけば終電…
ご馳走様でした。
息抜き出来たので、また日から頑張れそうです。
今年も晴天に恵まれ、前年度以上のお客様にお越しいただきました。
ホントにありがたいことです。
今年は、下準備が比較的整っていた上、現場に早く着いてしまった店主。
他の皆さんが準備の光景をパチリ。




開始時刻の1時間前には、あちこちのブースで行列が出来始め、これだけ多くの方々をお待たせするのも心苦しいと判断し、30分前倒しの開始と相成りました。
弊店ブースでも、今年は昨年より少し多めに仕込めて、お待たせしないメニューにして対応しましたが、やはりピーク時には30分位お待ち頂いたようで、申し訳なく感じています。
まさに段取りと連携の大切さを感じます(毎年ですが…)。
さて、写真は飲食ブースの販売開始前、および終了時間間近に撮ったものです。
(さすがに、開始から完売までは必死でしたからね。)


みな、ピークを過ぎて少し余裕がでてきた時間帯なので、にこやかな表情。




中でも、今回の大目玉!!
「コム・シノワ」の荘司オーナーシェフと、元「ブランジェリー コム・シノワ」の西川シェフとの“夢の師弟競演”はコレだ! ↓


西川シェフは、先月独立開業した「(サ・マーシュ)」としても出店なさってますが、今回初出場(!?)の荘司シェフとともに、「ブランジェリー コム・シノワ」ブースで腕を奮っていらっしゃいました。
師匠と並ぶ弟子の気持ち、弟子と並ぶ師匠の気持ちを考えると、涙がでそうです。

嬉しそうなこの笑顔。
お客様一人一人に心を込めて、「BonÁppétit !(ボナ・ペティ!)」
活気にあふれる会場に、笑顔を届ける姿が印象的でした。

「神戸酒心館」さんは、玄斎とのコラボ商品「吟醸粕汁」を販売して頂きました。
他に、「メツゲライクスダ」さんと開発した「酒粕ソーセージ」や、お隣り「サ・マーシュ」さんとは「酒粕パン」まで…


そして、回廊でのライブ演奏! かなり盛り上がってました。

小さいお子さんまで、手拍子で踊る踊る(笑)

もうひとつ、近畿タクシーさんが神戸で一台だけのロンドンタクシーで駆け付けてくださいました。。


写真撮影に加え、車内の素晴らしい音響システムを皆さんに楽しんでいただきました。
と、まぁ昨年よりパワーアップしての開催でしたが、来年もさらに楽しいことを企画して、よりご満足いただけるイベントにして行きたいと思います。









